世界の中心へ愛を叫ぶ


ローマのヴィティーニアに生まれ、ASローマの下部組織出身で今季同クラブの主将を務めていたアレッサンドロ・フロレンツィがバレンシアに移籍しました。2020年6月30日までの単純レンタルなので夏になったら戻ってくる可能性はあるけれど当初はクラブとフロレンツィの双方が完全移籍を望んでいると言われていたのでその可能性は低いと思っています。具体的な移籍金額も報じられていたので結論を先送りにしただけのような気がしています。


私は今失望しています。

何に対して?

ロマーノでロマニスタのバンディエーラを放出したASローマに対して?

もし私がそうですと答えたらきっと有識者の方々は言うでしょう。

おいおい、おおかみ司書よ、ロマーノでロマニスタのバンディエーラだから放出するなというのか?地元愛、地域密着、ファミリア感を大事にしろと?いつの時代の話をしているのだ。貴様は。もはやカルチョは地元の富豪の道楽ではないのだ。カルチョは世界的なビジネスとなりそのようなことを大事にしていてはビッグ・クラブ相手には戦えない。彼らを相手に戦い抜くにはドライに成長を追い求めなくては。革命が必要なのだ。革命に犠牲はつきものだ。ASローマの面々も今季はゼロ・イヤーと言っていたではないか。とね。

確かに革命に犠牲はつきものですね。ならば私も受け入れましょう。ただしそれは本当に革命を起こす気があるならばの話です。私は知っています。ゼロ・イヤーなどという名の革命はASローマの虚言に過ぎないと言うことを。良いですか、ASローマは毎年のように主力選手を放出し、それだけでは飽き足らず2年に1度以上のペースで監督の首も挿げ替えているのです。成長もくそもない。毎年1から作り直し。何がゼロ・イヤーですか!格好つけた言い方をして!そんなの毎年のことではないですか!そんなんでクラブが成長できるわけ無いだろ!いい加減にしろ!

すみません、少々興奮してしまいました。けれど私はASローマに失望しているのではありません。私はASローマが地元愛、地域密着、ファミリア感を大事にしてくれるなどとはこれぽっちも期待してはいないのです。そんな期待はトッティとデ・ロッシが追い出されたその日から捨てたのです。もはや私は何一つとしてASローマに期待していません。ですから失望のしようがありません。ASローマは嘘つきで私が傷つくことばかりするクラブです。けれどどんなにひどいクラブであろうと私はASローマを見捨てることはできません。言うなれば嘘つきで家庭内暴力を振るう男性に依存している状態です。

人々は言います。

あんな男、いい加減見捨てなよ、不幸にしかならないよ。

私はこう答えるのです。

うん、分かってはいるのだけれど・・・。でもね。あの人も良いところもあるんだよ。

もうお手上げです。どうしようもありません。私は離れたくても離れられないところまできてしまっているのです。はっきり言って馬鹿です。馬鹿以外の何者でもありません。だから私は腹をくくったのです。どうせ馬鹿で離れなれないのなら、何があってもこいつと添い遂げてやると。

では何に対して?

ASローマに背を向けたフロレンツィに対して?

いいえ。フロレンツィは私の何百倍、何千倍ASローマを愛している人です。故に彼にとって今回の移籍は考えに考え抜いた苦汁の決断であったはずです。その決断は尊重しなければなりません。

なら何に対して?

報道によれば今回の移籍は嘘つきで私が傷つくことばかりするクラブだけでなく、フロレンツィ自身も望んだ結果だそうです。なんでもユーロ出場を見据えて継続的な出場を望んだフロレンツィにフォンセカさんがそれを保証できなかった(フロレンツィに限らず他の誰にも)のだとか。他にもクラブやティフォージとの関係性もあったのかもしれません。真実は定かではないけれど何れにせよフロレンツィはASローマへの愛とそのほかの要素を天秤にかけ愛が負けたことは事実でしょう。

正直に言うと私は期待していました。最後にはフロレンツィが

夜も眠れないほど悩んだよ。このままだとユーロでプレイできないかもしれないからね。でも僕はデ・ロッシから腕章を受け継いだASローマのカピターノだ。カピターノがシーズン半ばでチームを去るなんてことは僕のASローマへの愛が許さなかったんだ。

とでも言ってくれることを。

今日、ASローマへの愛は負けました。私の何百倍、何千倍ものASローマへの愛を以ってしても負けた。愛以外のものに。

私は愛が負けた世界に失望しているのです。

神々が作りたもうた世界は愛がかけがえのないものであり、愛こそが全てなのではなかったのか。

貴方はそう説き、時にそれを私達に感じさせたのではなかったのか。

最後に愛は勝つのではなかったのか。

いつから愛はこんなにも無力なものになったのか。

一体いつから……

私は世界の中心へ愛を叫ぶ。失望しているが故に。そして私はこの失望から逃れる術をまだ知らない。



コメント

  1. おおかみ司書さんこんにちは。

    フロレンツィがスペインへと旅に出てしまいましたね……。
    でも個人的には
    ・イタリア国内の移籍ではない
    ・ステップアップのための移籍ではない
    ・財政難で売らなければいけないわけではない(多分)
    というわけで、まだ我慢できる方ですね。
    ていうか半年間で新たな武器を見つけて、EUROでも大活躍して、ひょっこり戻って来ると思ってるので半年間の武者修行頑張れ! という気持ちです。

    世界に愛が無いのは僕も実は気付いていました。
    今までローマから巣立って行った選手達はきっと契約が切れたら移籍金ゼロでローマに戻ってきてくれるのだろうと信じているのですが、戻ってきたためしがないし。(笑)

    でもフロレンツィとローマの間には絶対に愛はあるので、半年離れてお互いの気持ちを整理するのも今は必要なのだと思います。会えない時間が愛育てるのさって郷ひろみも歌ってましたし。

    なので半年後の再会を楽しみに、フロレンツィの冒険を応援したいと思います。

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  2. にょろろさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

    やはりにょろろさんはポジティヴシンキングなのです。凄い!そして世界に愛が無いことに気付いていらっしゃったとは。さすがです。私は先日まで愛はあるものとばかり思っていました・・・。

    >会えない時間が愛育てるのさって郷ひろみも歌ってましたし。

    目を瞑れば君(フロレンツィorローマ)がいるってわけですね。でも目を瞑れば君がいるってなんだか相手がもう死んでるかのように聞こえてしまう・・・

    等と思ってしまうネガティヴな私です。ごめんなさい。でも先のことは誰にも分からないから今はフロレンツィの応援あるのみなのです!

    返信削除

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