ザニオーロは裏切り者にされた・・・・・・のか?

 

ご存知の方も多いと思うけれど、今ローマの宝、いやイタリアの宝というべきニコロ・ザニオーロがイタリアのローマ・ファン達にとって裏切り者になっています。

ひょっとするとご存知ない方もいるかも知れないので私の知っている範囲でその経緯を簡単に説明します。

2022年夏、ザニオーロに移籍の噂がでるも本人がイタリア国内への移籍を希望していることとローマが高額の移籍金を要求したことにより、移籍は実現せず、ローマに残留。

ローマに残留したことで2024年6月30日に切れる契約の更新の話がでるがザニオーロがチーム・トップ・クラスとなる年俸400万ユーロ+ボーナスを要求するのに対し、ローマ側は今のパフォーマンス・レベルでその額を出すのは難しい、ピッチでその額に相応しいことを証明してほしいと難色を示し、話が一向に進まず。

2023年1月19日頃、ザニオーロは契約更新に関してローマ側にこちらの要求を呑む気なしと判断し、イタリア国内外問わず移籍を模索し、ローマも正式に彼を売りにだしたとの報道。

ザニオーロが移籍の可能性があることから、試合に集中できないとして、日本時間23日に行われたセリエA第19節スペツィア対ローマへの召集を拒否。

モウリーニョ監督がスペツィア戦後、ザニオーロが移籍を希望していることを認めた上で、ローマの要求を満たすオファーはこないだろうから、彼はローマに残るだろうという趣旨の見解を示す。

1月26日頃、ザニオーロに興味を示していたマランやトッテナムが撤退を決める中でボーンマスがローマの要求を満たすオファーを提示し、クラブ間で合意。後は選手の意思次第となるが翌日ザニオーロはこれを拒否。

1月28日、ナポリ戦の前日記者会見にてモウリーニョ監督はザニオーロは1ヶ月前から毎日出ていきたいと言っている。彼は主にクラブではあるが、監督にも、チームメイトにも”僕はローマでプレイしたくない、ローマのユニフォームを着たくない、僕はプレイしに戻りたくない、僕はチームとの練習に戻りたくない”と言ったという趣旨の発言をする。

彼が2度の大怪我をした時もクラブは暖かくサポートしてきたこともあってか現地のローマ・ファン達が激怒、裏切り者へ。

以上が経緯となり、ローマのオーナーもザニオーロの態度を受けて彼をチームから外すことを決めたと言われています。

かくして裏切り者になったザニオーロだけれど、私は今、彼は裏切り者になったのではなく、裏切り者にされたのだと考えています。

私がそう考えるきっかけとなったのは1月28日、ナポリ戦の前日記者会見でのモウリーニョ監督の発言です。

私は思いました。

こんなこと言う必要あった?と。

だってこんな発言しようものならファン達に嫌われるのはわかりきったことではないですか。

それにザニオーロに興味を持っているクラブがこの状況につけ込み、彼を安く買い叩こうとする可能性だって容易に想像がつきます。

この会見の時点でまだ移籍市場は開いていたのに。しかもローマは最後まで自分達が決めた条件を満たさなければザニオーロは売らないと強気の姿勢を貫き通したのに。

ローマにとって何にもメリットが見当たらないです。

しかもこんなことを言ったらザニオーロが移籍しなかった時に取り返しのつかないことになるではないですか。

何?ファン達が敵に回ってる状態で彼に次の移籍市場が開くまでプレイしろと?そんな状態でプレイしても良いパフォーマンスなんてできるわけない。ザニオーロが潰れてしまい、価値がさがってしまうだけ!

そして案の定ローマのオーナーもザニオーロをチームから外すことを決めてしまいました。

どうするのこれ?誰も得してないではないですか!クラブも、ファン達も、ザニオーロ本人も!皆不幸にしかなっていない!モウリーニョ監督がわざわざこんな発言をしなければ、違う結末だってあったでしょうに!!

ローマは馬鹿なの?馬鹿なのか?よし、馬鹿なのだな!

そう決心しようとした時です。

ファン心理とは恐ろしいものです。

そんなはずない!私の愛するローマがこんな馬鹿な私でもわかるような馬鹿なはずがない!考えてみろ、ローマのオーナーのフリードキンさんは文字通りの億万長者だぞ!そんな馬鹿で億万長者になれるか?もしなれるのなら今頃私がローマのオーナーになってないとおかしいだろ!私がローマのオーナーになってないということはつまり馬鹿は億万長者になれない証拠。よってフリードキンさんは天才、大天才、大大大天才、故にこれは何かの間違い!もしくは隠された意図があるはず!

と私の心はそれを猛烈に拒否したのです。

危機一髪のところでローマを馬鹿認定することの回避に成功した私はそのことに感謝しつつ隠された意図を探ることにしたのです。

手始めにモウリーニョ監督の発言でローマは何を得たのかを整理してみることにしました。その結果

モウリーニョ監督の発言でローマはザニオーロをチームから外すことを得た。

となりました。

なんじゃそら。

やっぱり馬鹿ではないか!

いやいや、そうじゃない。そうじゃないのですよ、私!

フリードキンさんは大大大天才のはずだから隠されて意図が絶対あるはず。そうだよね?フリードキンさんを信じて良いのだよね?私は信じているよ!

仕切り直して私はこれが意図的であったらどういう理由があるか考えてみることにしました。

つまり

モウリーニョ監督の発言でローマはザニオーロをチームから外すことを得た。

のではなく

ローマはザニオーロをチームから外すことにしたのでモウリーニョ監督はこの発言した。

のだとしたらどういう理由が考えられるかということです。

ここで私は気づきました。

この理屈でいくとモウリーニョ監督の発言の時点でローマはザニオーロの売却を諦めていたことになるのではと。

もし売却するつもりがあるのなら、わざわざチームから外すさなくても売却すればそれで万事解決するわけですから。

考えてみるとモウリーニョ監督が発言したのが1月28日、ザニオーロがボーンマスを拒否した翌日です。

ザニオーロがボーンマスを拒否した時点でローマは彼の売却を断念し、チームから外すことを決断したとしたらどうなるでしょうか?

モウリーニョさんの発言が28日だから移籍市場が開いていたのは29、30、31日の3日間、移籍市場もクライマックスに入った頃です。

ザニオーロは買いたいクラブが現れて、売却に傾いたわけではなく、ローマが売却したいと言って買い手を募集している状態だから、残り3日はどんどん売り手ではなく買い手側が有利になっていくと考えられる。

そしてモウリーニョ監督の発言でますます買い手有利に。

けれど前述のようにローマは最後まで自分達が決めた条件を満たさなければザニオーロは売らないと強気の姿勢を貫き通した。

このことから私が考えたストーリーはこうでした。

どんどん買い手が有利になっていく状況ではローマの決めた条件での売却はほぼ不可能。

かと言ってどうしても売りたいからといって買い手の条件に合わせるのはまずい。

何故なら一度そういう前例を作ると、今度同じような状況の時にローマは時間がなくなってくると買い手のいいなりになるとみられて、そこにつけこんでくるクラブが現れかねないから。

なら今後のことも考えてここで強気の姿勢を貫きとうした方が得策。

となったとします。

とすると

モウリーニョ監督の発言でただでさえ買い手有利の状況が更に加速したのに、ローマが最後まで強気の姿勢を貫いたのは、そもそも彼の売却を諦めていたから?

こう考えると辻褄は合いそうです。

そしてもし売却を諦めたことが全ての始まりだったとしたら、フリードキンさんがザニオーロをチームから外したことも、モウリーニョ監督が会見であんな発言をした意味も説明がつくと閃きました。

私が閃いた説明とは

売却を諦めたとしたらザニオーロは残留となる。

ここでフリードキンさんは問題に気づきます。

あれ?でもザニオーロってクラブにも監督にもチームメイトにも

”僕はローマでプレイしたくない、ローマのユニフォームを着たくない、僕はプレイしに戻りたくない、僕はチームとの練習に戻りたくない” 

と言ってたよね?

それに試合へ召集も拒否したりしたよね?

こんな言動をした選手を売却できなかったと言って、お咎めなしでチームに戻したら他の選手達はどう思う?

あっ、ローマってどんな言動しても許してくれるんだ。だったら僕も好き放題しようってなりかねないよね?

それに監督やクラブ関係者もフリードキンさんはこんな言動をした選手でも許してしまうのだ。リーダーとしてそれってどうなのかな?本当にこの人についていって大丈夫かな?って思われかねないよね?

というか何よりも僕のことを舐めてるよね?

となるとクラブ内示しをつけるためにもここは断固たる姿勢を示すしかないよね。

では、失うものも多いけど、同じことが2度と起こらないように断腸の思いで彼をチームから外すか

との結論に至ったとします。

そうなると次に必要になってくるのが彼をチームから外す大義名分です。

これがないとなんでチームからザニオーロを外すのだとメディアやファン達から疑問が湧いてくるのは目に見えています。

もしザニオーロなしでチームが上手く回らなかったとしたら、批判がクラブに集中してしまう可能性もあります。

ここで思いついた大義名分がモウリーニョ監督の発言だったのではないでしょうか?

実際このモウリーニョ監督の発言で大義名分はローマにありとなり、ザニオーロが裏切り者になった感があります。

こうだとすると一見誰も得していない馬鹿に見える行動にも隠れた意図があったと言えるのではないでしょうか?

つまり私が言いたいのは

ザニオーロの売却を断念したローマ。しかし、これまでのザニオーロの言動からクラブ内に示しをつけるためにも断固たる姿勢をとるために彼をチームから外す必要がてできた。そこでその正当性を周囲に示すためにあえてモウリーニョ監督に内情を暴露させたのではないか。

ということです。

こう考えると少なくとも私の中ではこれまでのローマの行動に説明がつき、ローマを馬鹿認定しなくて済むようになりました、

そして私はこれはザニオーロが裏切り者になったというよりかはあえてローマがザニオーロを裏切り者にしたのではと想いました。

こうして私はザニオーロはローマによって裏切り者にされたのではないかと考えるようになったのでした。

さて、私はこう考えているけれど、案外互いが一時の感情に身を任せた故の結果だったりするかもしれないし、事実は知る由もありません。

私はこのような結末になってしまった事がただただ悲しいです。

ならばピッチ上だけでもローマの輝いている姿を見たいと思っていたのだけれど、ローマはコッパ・イタリアでクレモネーゼに負けまさかの準々決勝敗退。

悲しみというのは重なるようにできているようです。

であればせめて夢の中では皆が仲良く、輝いているローマが拝めますように。

どうか。

どうか。

何卒。






コメント

  1. 我々が把握できないロッカルームでは様々な事が起こっていたのだと思います。

    恐らくですが、ザニオーロの件は今回始まった問題ではなく、ずっと前から積もり積もって今回表に出てきたのだと思っています。


    トッティが以前からザニオーロに対していろいろ言ってたのを少しでも真剣に耳を傾けていればこういう事にはならなかったのでは思うと残念でなりません。

    返信削除
    返信
    1. 匿名さん、コメントありがとうございます。

      >恐らくですが、ザニオーロの件は今回始まった問題ではなく、ずっと前から積もり積もって今回表に出てきたのだと思っています。

      そうなのかもしれませんね。ザニオーロの決勝点でUECLを優勝したときはこれで何もかも上手くいくと思っていたのだけれど……残念です

      削除
  2. フラッテージのように熱望した移籍が実現せずとも元のクラブでプレーしている選手はいくらでもいますのでね。
    試合拒否練習拒否の時点で立派な裏切り行為でしょう。
    それとモウリーニョ発言の後ザニオーロはボーンマス移籍受け入れに転じたとされてるのであっさり満額移籍が実現してた可能性もあったのですよね。
    ボーンマスがザニオーロ資金を他に転用したのとザニオーロのボーンマスへの無礼な態度が原因で破談になりましたが…

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    返信
    1. 匿名さん、コメントありがとうございます。

      >それとモウリーニョ発言の後ザニオーロはボーンマス移籍受け入れに転じたとされてるのであっさり満額移籍が実現してた可能性もあったのですよね。
      ボーンマスがザニオーロ資金を他に転用したのとザニオーロのボーンマスへの無礼な態度が原因で破談になりましたが…

      モウリーニョさんの発言であっさり心変わりできるなら、なおさらボーンマスからの使者さんとの会談を拒否して欲しくなかったです。直接お話を聞けば、行きたいと思えた可能性だって大いにあったと思うから。

      削除
  3. 司書さん、更新&名推理ありがとうございます

    ザニオーロの問題は、彼の精神的な未熟さによるもののような気がします。
    それをローマに上手く付け込まれたという考えもできると思います、
    が、契約延長が進んでいない理由が聞こえてきたあたりから、チームに世話になっておきながら何いってんだ??と感じていた自分は、その感情が強くなって自然と表に出てきました。この裏切り者め!!という怒りと期待していたのに···というローマでの彼の活躍を見れなくなる強い悲しみです。

    でもまぁ仕方ない、選手は一瞬チームは永遠です。ソルバッケンがこの傷を癒やしてくれるさと楽観し、2連敗中のローマが盛り返せるよう応援していくです。

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    返信
    1. 匿名さん、コメントありがとうございます。

      今回のことで私が強く思ったのは沈黙は金という言葉は本当だったのだということです。ザニオーロは一時の感情に身を任せて色々喋りすぎたと想います。マイナスのことだけでなくプラスのことも。そのせいで余分なトラブルまで背負い込んでいる印象です。

      ソルバッケンはやってくれるはずです。なんといってもあのヨーロッパ・チャンピオンのローマから点を奪った男ですから!

      削除

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